台風21号で被害を受けた関西空港の復旧が加速してきた。運営会社の関西エアポートは14日、「21日には通常の運航ダイヤに戻る」と発表した。それでも、国内有数の拠点空港の機能回復までには、課題が残っている。
被災直後から停電が続いていた関空の第1ターミナル(T1)の南側のエリアに、久しぶりににぎわいが戻った。商業施設も全体の半分を超える76店が営業を再開。滑走路は2本とも使えるようになった。
空港を運営する関西エアポートによると、14日はT1を使い国際線と国内線を合わせて約120便が発着した。すでに再開している第2ターミナル(T2)も合わせると、いつもの4割ほどの便数だという。
21日には停電が続いている北側も復旧し、通常ダイヤに戻すことができる見通しだという。
ただ、この先も安定的に運航できるかどうかは分からない。タンカーが衝突して連絡橋が損壊したため、空港と対岸とのアクセスに支障が残るためだ。
空港利用者の半分が使う鉄道は、21日に運転を再開する見通しだ。だが、道路は引き続き対面通行を実施し、当面はマイカーの通行規制が続く。日に日に増える工事車両などによって、想定外の混雑になる可能性もある。
貨物地区、復旧見込み立たず
貨物便も簡単には戻りそうにない。
倉庫などの物流施設が集まる国際貨物地区も、高潮による冠水で、大きな被害が出た。排水作業は完了したものの、浸水した荷物の片付けが続いている段階で、復旧の見通しが立っていない。ここが復旧できても、連絡橋道路が制限されている状態では、空港外との物流も、滞ったままになる。
大阪税関によると、関空経由の輸出入額は17年に9兆5845億円で、全国の6・2%を占める。医薬品の輸入や電子部品の輸出に使われており、空港では成田に次ぐ国内2番目だ。
国が旗を振り、成田や中部空港の利用を増やしているが、トラック分の輸送コストがふくらむ。
ある航空貨物会社の担当者は「関空が使えないために、成田周辺の物流倉庫自体がパンク状態だ。輸送に使うトラックも確保が難しくなっている」と話す。
■動き鈍い空…