高校野球愛知大会3日目の6日は、8球場で1回戦24試合があった。雨により、阿久比球場と豊橋市民球場の計5試合が中止になり、7日に延期になった。春の選抜大会を制した東邦など9試合がコールドゲームとなった。豊田南は延長十一回で旭野にサヨナラ勝ちした。
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取り戻した信頼が力に 木曽川・佐藤歩夢主将
(6日、高校野球愛知大会 知立9―6木曽川)
三回表に1点をリードし、なお2死二塁の好機。木曽川の捕手で5番の佐藤歩夢(あゆむ)主将(3年)に打席が回った。「みんながつないでくれたチャンス。点をとってエースを楽にさせたい」。2ストライクから粘って5球目。高めの変化球を左翼線に運び、適時二塁打となった。
佐藤君は新チーム発足時、立候補して主将になった。1、2年時に主将だった先輩にあこがれたからだ。だが、秋の練習試合や公式戦で負けが続いた。「キャプテンが引っ張れていない」。チーム内で不満の声が上がった。1月中旬、主将の座を降りた。
練習は続けていたが、自信をなくしていた。「部活をやめようかな」と考えていた矢先、副主将の山角大樹君(3年)と小笠原桜哉(おうや)君(3年)から復帰を求められた。2人は「主将」がいなくなったことで、佐藤君の存在の大きさに気づき、「自分たちが歩夢を支えられていなかった」と感じた。2月末、佐藤君は「声と気持ちでチームを引っ張る」主将として再スタートを切った。
この日は、ピンチのたびにマウンドに駆け寄り、エースの山角君とグータッチ。三回裏に捕逸や暴投などで同点に追いつかれたときは、ベンチで山角君たちに「まだ負けていない」と声をかけられ、気持ちを取り戻した。
結果は6―9で敗れ、夏の1勝は果たせなかったが、佐藤君の目に涙はなかった。「みんなのおかげで『勝ちたい』という思いを共有することができた。2年半、一緒に野球をやってくれてありがとうと言いたいです」(村上友里)