感想戦で勝負を振り返る稲葉陽八段=2日午後9時32分、長崎県西海市のオリーブベイホテル、長沢幹城撮影
佐藤天彦(あまひこ)名人(29)に稲葉陽(あきら)八段(28)が挑戦する第75期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第3局は2日、長崎県西海市のオリーブベイホテルで2日目が指し継がれ、午後8時50分、116手で稲葉挑戦者が勝ち、対戦成績を2勝1敗とした。終盤まで競り合いが続く激戦だった。
第3局をタイムラインで
持ち時間各9時間のうち、残り時間は佐藤名人が1分、稲葉挑戦者が20分。第4局は16、17日、岐阜市で指される。
封じ手の△5二金に対して佐藤名人が放った▲5六角が、本局の命運を賭けた一手。この角を働かせようとする佐藤名人と、無力化を図る稲葉挑戦者のせめぎ合いが繰り広げられた。
3筋の金と銀の活用に成功した稲葉挑戦者がリードしたが、▲3七金から▲4七金が正確な受けで、佐藤名人に好機が訪れたと思われた。だが、危険に見えた後手の玉が意外と捕まらない。最後は稲葉挑戦者が反撃を決めた。終了図以下は、▲7七玉に△7八金以下の即詰み。
解説を務める副立会人の豊川孝弘七段は「盤面全体で戦いが繰り広げられる大熱戦でした」と話した。(村瀬信也)
〈2日目の指し手〉先手・佐藤名人 △5二金(封じ手=32手目)▲5六角△7三桂▲7七桂△8一飛▲3五歩△同歩▲同銀△7五歩▲同銀△6五桂▲同桂△同歩▲4六銀△7四歩▲8六銀△6二玉▲4五角△4四歩▲2七角△4五歩▲同角△4四銀▲1八角△4五歩▲5六桂△4三金左▲4四桂△同金▲5七銀△5四歩▲同歩△5五角▲5三銀△同金▲同歩成△同玉▲4六歩△5六歩▲同銀△4六角▲3七金△5七角成▲4七金△同馬▲同銀△5七桂▲7九玉△4九桂成▲3七桂△3三桂▲3四歩△同金▲2四歩△2五桂打▲同桂△同桂▲5四歩△同銀▲4六桂△3七桂成▲5八飛△5七歩▲同飛△5六歩▲同飛△5五歩▲7二角△6二桂▲8一角成△5六歩▲5四桂△5七歩成▲5一飛△4四玉▲6二桂成△5九飛▲6九桂△6八金▲同金△同と▲同玉△5一飛成▲同成桂△5九銀(終了図)まで、稲葉八段の勝ち