一回裏立大1死一、二塁、大東は3点本塁打を放つ=林敏行撮影
憧れの「ミスター」長嶋茂雄さんの目の前で、試合の流れを決定づける一発を放った。
11日、神宮球場で行われた全日本大学野球選手権の決勝、国際武道大戦。1点を先取された直後の一回、立大は2点を取り逆転し、なお1死一、二塁で6番指名打者の大東孝輔(4年、長良)に回ってきた。狙っていた初球をフルスイングすると、打球は左翼席中段へ飛ぶ3ラン。優勝の立役者となった。
岐阜県各務原市出身。小学校のときに長嶋さんの伝記を読んで憧れ、指定校推薦で立大の門をたたいた。本塁打について「学生野球ではなかなか見られない、プロのような打撃だった」と長嶋さんが褒めていたと聞くと「偉大な方。その人の前で打てたのは奇跡。すごくうれしい」と喜んだ。
高校時代は長嶋さんと同じく、甲子園とは無縁だった。同級生には4番笠松悠哉(大阪桐蔭)や主将の熊谷敬宥(仙台育英)ら甲子園で活躍し、アスリート選抜入試で立大に来た選手も多い。「入ったときは2軍で雑用だった」。それでも腐らず、夜まで居残り練習をしてバットを振り続けた。目標は「笠松よりも誰よりも振る」ことだった。
今春のリーグ戦では代打での出場が多く、13打数3安打だった。指名打者制の選手権では溝口監督が「経験もあるし、託した」と全試合に指名打者で先発出場。高校時代は通算1本塁打だったのが、この選手権だけで2本塁打。最高殊勲選手賞も獲得した。
社会人でも野球を続けることが目標だ。「(就職先は)まだ決まってない」としながら、秋は「守備でも頑張ってスタメンをとりたい」と意欲を見せた。(大坂尚子)