会社更生法による再建中の日本航空は1日、経営陣を一新してスタートを切りました。ただ、待ち受ける環境は厳しく日航の再建には課題が山積しています。
「頑張らないといけないですね。(Q.厳しいスタートになる?)そういう状況は十分想定されると思います。力を合わせれば(再建)できると思います。確信しています」(日本航空 大西賢社長)
1日朝、JNNの取材に応じた日航の大西賢新社長。就任初日から「経営再建は厳しいスタートになる」という認識を示しました。日航は1日、経営陣を一新。会長には京セラ名誉会長の稲盛和夫氏が就任しました。
「(再生計画は)たぶんに楽観的な点も入っているのではと思います」(日本航空 稲盛和夫会長)
「いまだに、いわゆる“親方、日の丸”の体質を引きずっている部分もございます」(日本航空 大西 賢社長)
日航は今後3年間で全体の3割に当たる1万5600人の削減を発表していますが、新しい経営陣が自ら認めるように、このリストラ策では十分な再建につながらないという見方もあります。
「コスト的には人件費の安いグループ会社の方が削減されて、(人件費の)高い日航本体では4000人しか削減されない」(東京商工リサーチ 友田信男氏)
人員削減対象はグループや子会社が中心。給与水準の高い社員に手をつけなければ、大幅な人件費削減には結びつきません。さらにJNNが入手した内部資料には、人員の削減についていまだに具体的な説明がなく、不透明な現状が明らかになりました。
(Q.雇用は継続されるのでしょうか?)
「JALグループは、これまで通り事業を継続しますから、社員の皆さんとの間の雇用関係も継続することになります。どうか冷静に業務を継続して下さい」
(Q.今後何らかの人件費削減策や福利厚生制度の見直しが実施されるのでしょうか?)
「今後JALグループの確実な再生を図るための施策の実施は必要と考えられますが、現時点で具体的な施策は未定です」(JNNが入手した内部資料)
「私ども自身が決して今、業績がいいわけではありませんから」(全日空 伊東信一郎社長、1月14日)
ライバル・全日空も、今年3月期は7年ぶりの営業赤字に陥る見通し。デフレ不況などの影響で利用客が落ち込み、航空業界を取り巻く環境は厳しさを増していますが、日航の再生計画にある撤退・減便路線案や搭乗率の見積もりはこうした厳しい背景を反映していないために、業績のV字回復は夢物語だとの指摘もあります。
「国内線(の搭乗率)は59%ですが、これを65%まで引き上げるという計画です。どうも“現実離れ”しているというのが客観的に言えるんです。再建計算案が甘いと再建がうまくいかなくなりますので、歩きながら一方で“二次破たん”ということも考えられる」(東京商工リサーチ 友田信男氏)
「お客様に受け入れられる企業になるために頑張るだけです」
「皆様に支援頂いていることを忘れずに、謙虚に愚直に頑張っていきます」(日航社員)
「企業の盛衰は、まさにリーダーの資質にかかっていると言われております。その意味では私の責任は重大であると自覚を致しております」(日本航空 稲盛和夫会長)
課題が山積している新生・日航の再スタート。3年後の経営再建を達成するためには強いリーダーシップのもと、更なるリストラとその着実な実行が不可欠です。(01日17:56)