試合前に募金活動を行う(右から)西武・野上、オリックス・西野ら=神戸市、遠田寛生撮影
九州地方で断続的に発生する強い地震の影響で、プロ野球のソフトバンクは16日、ヤフオクドーム(福岡市中央区)で予定していた楽天戦を中止した。選手たちは練習で汗を流したが、携帯電話からは緊急地震速報が響く異様な雰囲気。工藤監督は「(被災地の方の)無事を祈るだけ。早く何かの形で支援できれば」と沈んだ表情で語った。
地震で中止になった試合
地震でプロ野球の公式戦が中止になるのは2008年6月14日、岩手・宮城内陸地震による楽天―巨人戦(Kスタ宮城=当時)以来、2度目。「中止はファンには申し訳ないが、球場は安全でも帰路がある。何かが起きてからでは遅い」と工藤監督。15日夜のヒーローインタビューでは被災地を思って涙ぐんだ内川も、出身地の大分が激しい地震に襲われている。「見守るしかない歯がゆさがある」と言葉を絞り出した。
一方、Jリーグも16、17日のJ1~3の6試合を中止。地震による試合の中止は、11年3月の東日本大震災以来5年ぶり。このうち17日に京都市で予定されていたJ2の京都―熊本戦は、熊本側から「試合を行うのは困難」との申し出があったという。
熊本は16日、選手、スタッフの全員が無事だと発表したが、熊本県内の被害が甚大なため、18日までの全活動を休止するとした。
熊本の状況について、Jリーグの村井満チェアマンは「(被害の大きい)益城町から10~20キロの範囲に、クラブの事務所や練習場がある。事務所は物が散乱して業務が出来ないと聞いている」「スタッフや関係者の家族の中には、避難所に身を寄せている方もいると聞いている」と話した。熊本市東区の本拠は閉鎖され、練習場には自衛隊が駐留しているという。
また、プロ野球の巨人―中日戦が19日に予定されていた藤崎台球場(熊本市中央区)は、内野席が壊れ、照明は落ち、外野の芝が隆起するなどして試合中止が決定。バスケットボールNBLも16日に川崎市で予定していた東芝神奈川―熊本戦を取りやめた。熊本の選手が急きょ、地元へ戻るためという。
こうした現状を受け、プロ野球やJリーグ、プロゴルフの選手らが16日も試合会場などで募金活動を実施。日本ゴルフツアー機構とジャパンゴルフツアー選手会は17日から全選手に、当面の大会での獲得賞金の1割を寄付するよう呼びかける。全日本柔道連盟も17日に全日本女子選手権の会場(横浜文化体育館)で募金を行うと発表するなど、各団体での支援活動が続いている。