大阪桐蔭を相手に好投した寝屋川の藤原涼太=大阪・シティ信金スタ、遠藤隆史撮影
今春の選抜大会を制した大阪桐蔭を相手に、公立校の寝屋川が勝利をつかんだ――はずだった。12日にあった春季近畿地区高校野球大会大阪府予選の準々決勝。寝屋川は九回2死まで1点をリードしていたが、守備が乱れて同点にされると、直後にサヨナラ二塁打を浴びた。
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「公立校らしい野球で大阪桐蔭を苦しめたい」と臨んだ寝屋川のエース藤原涼太は、強力打線に一歩も引かない投球を見せた。チェンジアップやスライダーを低めに集め、三回まですべて三者凡退に。四回にリードを許すが最少失点で踏ん張った。
すると終盤、打線が奮起する。流れを引き寄せたのは、それまで積み重ねていた積極性だ。「相手に重圧をかけたかった」(達大輔監督)と、アウトになっても盗塁を仕掛けた。球威に押されても振り抜くバッティングを貫いた。八回、3連打などで一挙4点。一気に逆転に成功した。
その裏に2点をかえされたものの、1点リードで試合は九回裏2死二塁。相手の打球は二塁手の正面をつく内野ゴロ。藤原は「勝ったと思った」。しかし、打球は二塁手の一貫田(いっかんだ)裕貴が出したグラブの下を転がり抜けた。手痛い失策となり、同点に。さらに根尾昂にサヨナラ打を打たれた。
一貫田は「緊張はなかったはずだけど、グラブが少し浮いてしまった」。今年のチームは「不動心」を合言葉に、どんな強敵でも自分たちの野球を貫こうと言いあってきた。「最後の最後で、不動心が徹底できなかった」と悔やんだ。
それでも、公立校の粘りは王者に苦い記憶を刻みつけた。大阪桐蔭の西谷浩一監督は「クレバーな投球をされて打線が打ちあぐねた。もっとやらないとダメですね」。厳しい表情で話した。(國方萌乃、遠藤隆史)