甲子園練習で一斉に飛び出す大阪桐蔭の選手たち=阪神甲子園球場、遠藤真梨撮影
頭一つ抜けたチームは存在しない。90回目の春は実力伯仲の大混戦だ。あえて優勝候補を挙げるなら、史上3校目の春連覇を狙う大阪桐蔭と秋の神宮王者、明徳義塾だろう。
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大阪桐蔭は投打のバランスがいい。柿木、根尾らの投手陣は失点が計算でき、打線にも藤原、中川と軸がいる。だが、例年に比べ、やや爆発力に欠ける印象もあり、どれだけ勢いに乗れるかが連覇への鍵となる。
明徳義塾はエース市川の存在が大きい。右横手から140キロ超の速球に鋭いスライダーなどを操る。それ以上に、強気なマウンドさばきと昨夏の甲子園でも投げた経験値が武器。安定度は今大会ナンバー1だ。
ただ、いきなり初戦で関東王者の中央学院とぶつかるなど、明徳のブロックは有力校が集う最激戦区。
聖光学院はチーム史上最強とも言える打線を作り上げてきた。東海大相模の総合力も桐蔭や明徳に引けをとらない。東海王者の静岡は投攻守にまとまっており、日本航空石川の打線も脅威。どのチームが勝ち上がるかが、紫紺の大旗の行方を大きく左右する。
大会屈指の強打者、林を擁する智弁和歌山、豊富な投手陣に加え、この冬に打線が格段に良くなった創成館も頂点を狙う力がある。
初戦で注目したいのは、花巻東―東邦と由利工―日大三。個々のポテンシャルが抜群の東邦に、試合巧者の花巻東がどう対抗するか。由利工の好右腕・佐藤亜が日大三の強打に挑む一戦も見応えがありそう。
ダークホースになりそうなのが、北信越2位で出場の星稜。背番号11、2年生右腕の奥川は最速146キロで、大会前の練習試合でも三振の山を築いている。エース竹谷もおり、打線の奮起次第では上位進出も十分ある。東海3位の三重も投手層が厚く、評判が良い。
初出場ながら川畑、富山の二枚看板が良い乙訓(おとくに)。プレーはせず、データ分析専門の部員がいる21世紀枠の膳所(ぜぜ)が、どんな守備陣形を敷くのかも楽しみ。(山口史朗)